小さな会社の総務・経理・労務の仕事 / 藤井 恵介, 佐々木 栄美子

小さな会社の総務・経理・労務の仕事

小さな会社の総務・経理・労務の仕事

中小企業を取り巻く法規、税法, 労働法規, 会社法等について、中小企業の総務・経理担当が理解すべき最低限の知識を与えることを目的として執筆した、とのことだが、総務・経理担当以外の社員も読んでおくと役に立つことが多くて、おもしろいと思う。

新しい法律を作ることを云々するよりも、労働基準法を守らせるだけで日本の労働環境がすごく変わるはず、というのが理解できるはず。

ということで、以下は読んでた時のメモ。

総務/経理/労務

総務
  庶務・管理業務
    各種契約書・文書の作成
      契約書の内容について
        契約の当事者が明確になっていること
        契約成立日と終了日が決められていること
        契約の趣旨・目的が明確になていること
        合意内容が文章にきちんと盛り込まれていること
        条文の内容に不自然な点がないこと
        不当に不利な条件を入れらていないこと
        双方の権利・義務が記載されていること
        双方の署名・押印がされていること
        印紙税が必要な契約書では収入印紙が貼られていること
  従業員に関する手続き業務
    入社手続き

  完全歩合給制は認められていない

  通勤手当の非課税となる範囲
    公共機関利用の場合 1か月当たり10万円まで
    マイカーやバイク、自転車通勤の場合
      2km未満 0
      2km以上10km未満 4100円
      10km以上15km未満 6500円
      15km以上25km未満 11300円
      25km以上35km未満 16100円
      35km以上45km未満 20900円
      45km以上 24500円
      ※ただし通勤距離が15km以上の場合で、公共交通機関を利用しているとみなした時の通勤定期券1カ月分が表の金額を超える場合、その金額が上限となる(最高額 10万円)

  割増賃金の計算
    法定労働時間を超えていた場合、通常支払われる給与に2割5分以上を上乗せしなければならない
    所定労働時間7時間で10時間勤務した場合、8時間を超える2時間が時間外労働で、残りの1時間は通常の給与1時間分を支払えば良い
    法定休日に出勤させた場合、通常支払われる給与に3割5分以上5割以下を上乗せする必要がある
    深夜労働は午後10時から午前5時まで労働させた場合で、通常支払われる給与に2割5分以上を上乗せして支払う
    時間外労働が深夜に及んだ場合は時間外労働の2割5分以上と深夜労働の2割5分以上を合算して5割以上を支払う必要がある。休日労働が深夜に及んだ場合も同様の考え方で6割以上を支払う必要がある
    計算方法は1時間当たりの給与の額に割増率をかけることになるが、1時間当たりの給与額は以下の要領で算出する
      ・時給制の場合 時給そのまま
      ・日給制の場合 日給 / 1日の所定労働時間数
      ・月給制の場合 月給額(基本給 + 諸手当) / 1カ月当たりの平均所定労働時間
    1時間当たりの給与の額の計算から除外出来るのは以下の7種類の手当のみ
      ・家族手当
      ・通勤手当
      ・別居手当
      ・子女教育手当
      ・住宅手当
      ・臨時の給与
      ・1か月を超える期間毎に支払われる給与

  決算書
    貸借対照表
    損益計算書
    株主資本等変動計算書 期首から期末までの純資産等の変動を表す表
    
経理
  小口現金 定額資金前渡制度(インプレストシステム)

  企業の財産状態に変化が生じたとき
    借方(左側)には
    ・資産の増加または負債の減少
    ・純資産(自己資本)の減少
    ・費用の発生
    を表し、貸方(右側)には
    ・資産の減少または負債の増加
    ・純資産の増加
    ・収益の発生
    を表す
    販売した商品の仕入価額を40万円の時、
    付けで販売した場合、
   〔借方〕売掛金 500000/〔貸方〕商 品 500000
    は誤り。
    ○分記法ならば、
   〔借方〕売掛金 500000/〔貸方〕商  品 400000
    ………{空欄}………/〔貸方〕商品販売益 100000

    ○三分法ならば、
    〔借方〕売掛金 500000/〔貸方〕売上高 500000
    が正解です。(実務ではほとんどの会社が三分法を採用し、分記法の会社は非常にまれ。)

      貸借対照表
     借方   貸方
    【資産】  【負債】
          【資本(純資産)】
    
      損益計算書
     借方   貸方
    【費用】  【収益】
                これを暗記
    「4月25日給料10000を現金で払った」
    給料は資産、負債、資本、費用、収益のどれですか?(あなたは給料を払う立場です)勿論給料は費用です。(企業から見れば光熱費や消耗品費と同じ、収益をあげる為にかかった費用です。)費用は借方?貸方?そうです借方です。借方に決定!現金は借方?貸方?そうです借方です。今回は現金という資産がなくなったので、借方をマイナスする為に貸方に移動すれば良いのです。貸方に決定!
    借方と貸方という言葉の由来は私自信はっきりません。しかし、まず資産、負債、資本、費用、収益の基本ポジションを覚える。
    次に 借方の科目を増加→借方のまま
       借方の科目を減少→貸方に移動!
       貸方の科目を増加→貸方のまま
       貸方の科目を減少→借方に移動!
    以上のルールを覚えれば仕訳はできます。

労務
  労働基準法
    8h/日 40h/週を超えた場合は残業となる

  評価者(考課者)訓練の重要性
    ハロー効果
    寛大化傾向
    平均化傾向
    論理的誤差
    対比誤差
    期末考課

  平成22年4月の労働基準法改正
    月60時間を超える時間外労働については25%でなく50%アップの給与の支払いが必要(中小企業は猶予)
    有給の休暇で与えることも可能(労使協定の必要あり)

  労働契約と法定3帳簿
    労働条件通知書ないしは労働契約書(雇用契約書)
      書面で明示が必要な項目
      口頭の明治でも良い項目
    労働者名簿
    賃金台帳
    出勤簿

  就業規則
    常時10人以上使用する事業場では作成・届出が必要
    服務規程
    解雇
    懲戒処分
    秘密保持