システム開発のためのビジネスプロセスと会計の接点 / 岩谷誠治

SEが知っておきたい会計の落し穴―困ったときにあなたを救う会計用語INDEX付 / 岩谷誠治 - tmurataの日記と同じ著者の本。
先にこっちを出したら入門書を求められて、あっちを出版したらしい。(←我ながら頭の悪そうな書き方だw)
会計の大枠の話を書いて、大きな業務単位の話を書くという流れは同じですが、もっと詳細な記述になっています。
各業務については

  • フローチャート(各業務の業務フロー)
  • リスクマップ(内部統制リスクマップ)
  • プロセスの概要
  • 「会計」との接点

という構成で記述されており、それぞれの業務について要請されることについて、根拠となる法に触れつつ説明されています。
こちらも大変良い本です。
ただし、正直覚えてられないので必要な時に引くことになりそう。

ということで以下は前回と同じく、読みながら取ってたメモ。途中からメモ取るのやめたのが良く分かるw

[凡例]
法法 法人税法
法令 法人税法施行令
法規 法人税法施行規則
法基通 法人税基本通達
連基通 連結納税基本通達
消法 消費税法
消令 消費税法施行令
消基通 消費税法基本通達
税額表示通達 事業者が消費者に対して価格を表示する場合の取り扱い及び課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置の取り扱いについて

地法 地方税法
耐令 減価償却資産の耐用年数等に関する省令
耐通 耐用年数の摘要等に関する取扱通達
租法 租税特別措置法
租令 租税特別措置法施行令
国税通則法 国税通則法
国税徴収法 国税徴収法
国税反則取締法 国税反則取締法
電子帳簿保存法規 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
電子帳簿保存法規 電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則
電子帳簿保存法取扱通達 電子帳簿保存法取扱通達
e-文書法 民間事業会社が行なう書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律
e-文書整備法 同法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律

会社法 会社法
商法 商法
商法特例法 株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律
商規 商法施行規則

証取法 証券取引法
証取法施行令 証券取引法施行令
開示府令 企業内容等の開示に関する内閣府令
企業内容等開示ガイドライン 企業内容等開示ガイドライン(企業内容等の開示に関する留意事項)
企財審査レター 企財審査レター
財務諸表等規則 財務諸表等の用語, 様式及び作成方法に関する規則
連結財務諸表規則 連結財務諸表の用語, 様式及び作成方法に関する規則
財務諸表等規則ガイドライン 「財務諸表等の用語, 様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項
連結財務諸表規則ガイドライン 「連結財務諸表の用語, 様式及び作成方法に関する規則」の取扱いに関する留意事項

企業会計原則 企業会計原則
企業会計原則注解 企業会計原則注解
外貨会計基準 外貨建取引等会計処理基準
外貨会計基準注解 外貨建取引等会計処理基準注解
金融商品会計基準 金融商品に係る会計基準
研究開発会計基準 研究開発等に係る会計基準
減損会計基準 固定資産の減損に係る会計基準
連結財務諸表原則 連結財務諸表原則
連結財務諸表原則注解 連結財務諸表原則注解
CF作成基準 連結キャッシュ・フロー計算書の作成基準
CF作成基準注解 連結キャッシュ・フロー計算書の作成基準注解

外貨実務指針 外貨建取引等の会計処理に関する実務指針(会計制度委員会報告第4号)
連結実務指針 連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針について(会計制度委員会報告第7号)
持分法指針 持分法会計に関する実務指針について(会計制度委員会報告第9号)
CF実務指針 連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第6号)
連結税効果指針 連結財務諸表における税効果会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第6号)
セグメント会計手法 セグメント情報の開示に関する会計手法(会計制度委員会報告第1号)
減損摘要指針 固定資産の減損に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第6号)

---
ERP (Enterprise Resource Plannning: 企業資源計画) 生産管理におけるMRP(material Requirements Planning: 資材所要量計画)を全社レベルへ展開する概念。

プロセス志向 個別部門毎にとらえていた業務を一連の流れ(プロセス・手順)として捉えるもの


今後開発される先進のシステムでは財務会計は最低の必要条件であり(法律その他の規制により規定されるルールのため、システム上の機能として設定しない場合は代替手段で担保する必要がある)、求められる機能の多くは主に管理会計領域の深度化または高度化である。

会社法 
  債権者, 出資者などの保護を主たる目的とし、日本国内の全ての企業に適用される
  大会社/中小会社
    大会社 資本金5億円以上又は負債総額200億円以上。会計監査人は必須
    中小会社 大会社以外の会社。会計監査人は任意
  公開会社
    株式の譲渡に際して会社の承認を必要とする株式譲渡制限会社と株式譲渡制限のない会社のうち後者を公開会社という。(株式市場で上場している公開会社とは異なる意味)

証券取引法
  投資家の保護を目的とし、有価証券の募集および売出を行った発行者(上場企業, 上場準備企業)のみが対象となる
  決算書の種類
    計算書類 会社法上の決算書
    財務諸表 証券取引法上の決算書

税法
  課税所得の公平な計算を主たる目的としており、法人税, 消費税をはじめ日本では50種類におよぶ。

いずれの強制法規も「会計」業務すべてについて規定しているわけではなく、その多くを企業会計原則を中心とした会計慣行にゆだねている
┌──┬──────────┬───────────┬───────────┐
│    │会社法              │証券取引法            │税法                  │
├──┼──────────┼───────────┼───────────┤
│ 目 │ 株主・債権者保護   │投資家保護            │公平な所得計算        │
│    ├──────────┴───────────┤                      │
│ 的 │               外部報告目的                 │                      │
├──┼──────────┬───────────┼───────────┤
│ 対 │全ての会社          │株式公開会社          │全ての会社            │
│ 象 │                    │                      │                      │
├──┼──────────┼───────────┼───────────┤
│書主│計算書類            │有価証券報告書        │申告書                │
│類な│連結計算書類        │半期報告書            │                      │
├──┼──────────┼───────────┼───────────┤
│ 関 │・会社法施行規則等  │・企業内容等の開示に関│・法人税法            │
│ 連 │                    │  する内閣府令        │・法人税法施行令      │
│ 規 │                    │・企業内容等開示      │・法人税法施行規則    │
│ 則 │                    │  ガイドライン        │・租税特別措置法      │
│    │                    │・財務諸表等規則      │・法人税基本通達      │
│    │                    │・連結財務諸表規則    │・減価償却資産の耐用年│
│    │                    │・中間連結財務諸表規則│  数に関する省令      │
│    │                    │  等                  │  等                  │
└──┴──────────┴───────────┴───────────┘

法人税の確定決算主義の要請から日本の会計業務は税表の規定に従って行われたきたのが実態であり、これを税務会計と呼ぶ。


税法の体系
  税金の種類
    ┌国税(課税主体が国)
    └地方税(課税主体が地方公共団体)
        道府県民税
        市町村民税
    ┌直接税
    └間接税
  納税方法
    申告納税方式
      納税者が見時から税額を計算し、それに基づいて申告・納税する。法人税, 所得税等主要国税のほとんど
    賦課課税方式
      課税庁が税額を決定し、納税通知書によって納付する。固定資産税, 不動産取得税, 都市計画税等
    印紙納付方式
      課税文書の作成時に印紙税相当額の印紙を貼って消印する。印紙税
    源泉徴収方式
      納税者に代わって、利子, 給与等の特定所得の支払者が税金を天引きして納付する。給与, 利子所得等の所得税

法令の体系
  租税法令主義(法律によってのみ税金をかけることが可能)
  ┌ 本法
  │   政令    通達
  │     省令
  └ 特例法  

  税法の体系例 国税 - 法人税
    国税の共通事項 国税通則法, 国税徴収法, 国税反則取締法
    法人税 法人税法
             法人税法施行規則, 減価償却資産の耐用年数等に関数る省令

内部統制
  米国の企業改革法(Sarbanes-Oxley Act : SOX法)
  米国トレッドウェイ委員会組織委員会(Committee of Sponsoring Organizations of he Treadway Commision : COSO)が公表した内部統制の統合的枠組み(Internal Control-Integrated Framework)、いわゆるCOSOフレームワークが標準的な考え方。
  COSOフレームワーク
    1. 業務の有効性および効率性
    2. 財務報告の信頼性
    3. 関連法令等の遵守

  情報システムの内部統制
    全般統制
    業務処理統制

    本書であげる情報システム(業務処理統制に関連する部分)の統制目標
      4つの視点でプロセスを観察していく
        実在性 架空の取引が混入しないか
        網羅性 全ての取引を網羅しているか
        適時性 適切な会計期間に計上されるか
        分類の妥当性 適切な勘定科目が使われているか

    内部統制監査は公認会計士が実施し、財務報告に重大な影響を与えるものを抽出することを目的としている。

会計システムの全体像
  購買管理 発注〜検収までの購買情報の管理。棚卸資産の受払を管理する在庫管理については別パッケージの場合あり
  買掛金管理 取引先への支払業務の管理
  固定資産管理 固定資産の取得, 移動, 除売却, 減価償却の管理
  経費管理 従業員の立替経費, 旅費の精算
  生産管理 生産計画立案〜工程管理(各パッケージによってかなり異なる)
  原価管理 原価計算
  一般会計 GL(General Ledger)と呼ばれる会計システムの中心モジュール。仕訳情報を管理
  資金管理 資金繰りの管理情報の提供
  予算管理 予算作成および予算実績管理
  販売管理 受注〜出荷までの販売情報の管理
  売掛金管理 得意先への請求・回収業務の管理
  給与管理 勤怠情報をもとに給与計算を行う
  人事管理 昇進, 昇格等の人事情報の管理

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会計帳簿
  会社法の規定
    株式会社は正確な会計帳簿を作成する義務あり。閉鎖後10年間の保存が必要。
  法人税法の規定
    青色申告法人の帳簿の記載事項(法人税法施行規則 別表22)
      (1) 現金の出納に関する事項
      (2) 当座預金の預入および引出に関する事項
      (3) 手形(融通手形を除く)上の債権債務に関する事項
      (4) 売掛金(未収加工料その他売掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項
      (5) 買掛金(未払加工料その他買掛金と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項
      (6) (2)から(5)までに掲げるもの以外の債権債務に関する事項
      (7) 有価証券(商品であるものを除く。)に関する事項
      (8) 減価償却資産に関する事項
      (9) 繰延資産に関する事項
      (10) (1)から(4)までおよび(6)から(9)までに掲げるもの以外の資産(商品, 製品, 消耗品, その他たな卸により整理するものを除く。)に関する事項
      (11) 売上(加工その他の薬務の給付等売上と同様の性質を有するものを含む。)に関する事項
      (12) (11)に掲げるもの以外の収入に関する事項
      (13) 仕入れに関する事項
      (14) (13)に掲げるもの以外の経費に関する事項
    ※帳簿代用書類の規定(法人税法施行規則第59上第4項)と合わせて確認が必要
    帳簿書類の保存期間 申告書の提出期限の翌日を起算日として7年間(一部5年間)

  消費税の規定
    消費税法上の帳簿記載事項(消費税法施行規則第27条第1項)
      国内における資産の譲渡等
      国内における資産の譲渡等の対価の返還等
      仕入れに係る対価の返還等
      課税貨物に係る消費税額の還付を受ける場合
      貸倒れに係る消費税額を控除する場合
    仕入税額控除の要件
      帳簿及び請求書の保存(消費税法第30条第7項)
      帳簿へ記載が必要な事項(消費税法第30条第8項)
        1. 課税仕入れの相手方の氏名または名称
        2. 課税仕入れを行った年月日
        3. 課税仕入れに係る資産または役務の内容
        4. 課税仕入れに係る支払対価の額
    ※実務上は消費税法上の帳簿を他の帳簿と共有して使用する(消費税法基本通達で帳簿の共有は許可されている)

  電子帳簿保存
    自己が一貫して電子計算機で作成した帳簿や書類、手書きで作成したり他社から入手した書類のスキャナによる電子保存が可能。ただし、一部重要書類はその対象から外す。
    電子保存に関しては所轄税務署長の事前承認が必要
    税務上、帳簿と書類は厳密に区分されていて、承認要件や申請書類の様式も異なっている
    税務上の要件 電子帳簿保存の承認要件は帳簿や書類の種類毎に定められている
    電子取引の取引情報の保存
      電子取引によって完全にペーパーレスで行われる取引について、電子データの保存が義務付けられている
      電子取引の具体的な内容
         EDI(Electonic Data Intercahnge)取引
         インターネット等による取引
         電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含む)
         インターネット上にサイトを設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引
      ※電子帳簿の保存は各企業の任意選択だが、電子取引情報の保存については全ての企業に適用される。
    会社法との関係
      計算書類の電子化の条文あり
      電磁的方法による会社の公告も認められている
    根拠となる法律
      ・電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律
      ・民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律
      ・民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律
    帳簿と書類
      ・電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則

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消費税と外貨建取引
  消費税
    間接税の一種で、取引の各段階で課税される。ただし、最終的な負担者が、その商品およびサービスの消費者になるように流通の各過程において仕入れに係る消費税を控除する仕組み(仕入れ税額控除)が取り入れられている。
    課税対象取引
┌─────┬──────────────────┬───────────┐
│取引区分  │ 内容                               │取引例                │
├─────┼──────────────────┼───────────┤
│          │国内取引…国内における資産の譲渡,   │商品の販売            │
│          │          貸付および役務の提供      │運送等のサービス提供  │
│課税取引  ├──────────────────┼───────────┤
│          │輸入取引…保税地域から引き取られる  │商品の輸入            │
│          │          外国貨物                  │                      │
├─────┼──────────────────┼───────────┤
│免税取引  │輸出取引については、一定の要件を満た│商品の輸出            │
│(0%課税)  │すことにより課税が免除される        │                      │
├─────┼──────────────────┼───────────┤
│          │税の性格から課税対象になじまないもの│土地の譲渡            │
│          │                                    │預貯金, 貸付金の利子  │
│非課税取引├──────────────────┼───────────┤
│          │社会政策的な配慮に基づくもの        │社会保険医療等        │
│          │                                    │住宅の貸付            │
├─────┼──────────────────┼───────────┤
│不課税取引│資産の譲渡にあたらないなど、元来消費│借入金                │
│          │税が適用されない取引                │国外取引              │
└─────┴──────────────────┴───────────┘
      免税取引   仕入れの消費税控除が出来る
      非課税取引 仕入れの税額控除が出来ない。課税売上割合を計算する際の分母に含まれる
      不課税取引 消費税の世界に足を踏み入れない取引。課税売上割合には含めない。
    納税義務者
      課税対象となる取引を行った事業者。ただし課税期間の基準期間(法人の場合、その事業年度の前々事業年度)における課税売上高が1,000万円以下である事業者については納税義務が免除される
    消費税と地方消費税
      消費税の税率は4%の他隠逸税率。この他に消費税額を課税標準とした地方消費税が消費税の25%の税率で課せられる。
      ※一般で言う消費税5%とは (4% + (4% * 25%)) = 5% のこと。
      ※地方消費税は地方税の一種であるため、本来は都道府県別に申告・納付が必要。現在は地方税法の附則によって一括で国に納付することが「当分の間」認められているだけである。
    仕入れ税額控除
      課税売上に対する消費税額から、課税仕入れに係る消費税額を控除すること。
      仕入れ税額控除の方法
       ┌ 簡易課税制度
       └ 原則課税
            ├ 課税売上割合が95%以上 ┬ 一括控除可能
            └ 課税売上割合が95%未満 ├ 個別対応方式     ┬ 選択適用可能
                                     └ 一括比例配分方式 ┘
        ※課税売上割合の計算方法
          課税売上割合 = 課税期間の課税売上高(税抜金額) /
                         課税期間の総売上高(税抜金額)
            ※課税売上高, 総売上高の総苞に免税売上を含む
              総売上高は非課税売上を含むが不課税売上を含まない。(特定の有価証券の譲渡対価の5%を含む)
      一括控除可能 … 課税仕入れに係る消費税額の全額を控除できる
      個別対応方式 … 課税仕入れに係る消費税額を
                        課税売上のみに対応するもの + 
                        (非課税売上のみに対応するもの * 課税売上割合)
                      で算出
      一括比例配分方式 課税仕入れに係る消費税額の総額に課税売上割合を乗じて算出
      簡易課税 … 課税標準額に対する消費税額に、業種別のみなし仕入れ率を乗じて算出
      ※通常の事業会社の場合、課税売上割合はおおむね95%以上となるが、大きな土地の売却等が行われると特定の年度だけ95%を下回ることもあるため、個別対応方式にも対応できるように取引分類を考慮しておくことが必要

    会計処理方式
      税抜方式 … 消費税等の金額を収益および費用に含めず処理する方法
      税込方式 … 消費税等の金額を収益および費用に含めて処理する方法
      どちらの方法を採用しても納付すべき消費税額は同額となる。会計的には会計処理が損益計算に影響を与えない税抜き方式の使用が適当である。
      税抜処理においては、取引の都度消費税を区分経理する方法を原則とするが、期中は税込で処理し、期末または月次等に一括して消費税を区分する方法も認められている

    総額表示
      税込価格の設定を行う場合に1円未満の端数が生じる時は、当該端数を四捨五入, 切捨て又は切上げのいずれの方法によって処理しても差し支えない。また税込価格が表示されていれば端数処理行なわす、円未満の端数を表示してもよい。

    売上等(資産の譲渡等)に係る消費税額
      積上方式は特例であり、現時点では「当分の間」の経過措置で容認されているのみである。原則は総額方式である。
      複数商品を一括して引き渡した場合、各商品ごとに消費税等の金額を算出して端数処理することは認められず、合計金額単位で端数計算したものになる。

    仕入等(購買管理の仕入, 固定資産管理, 経費管理の支出関連取引を含む)に係る消費税額
      原則、課税仕入れに係る支払対価の合計欄に4/105を応じて算出する。ただし売上等の積上方式に対応していくつか規定がある。この中で端数処理方法が切捨てと四捨五入のみが認められていることに留意する必要がある。

      固定資産の控除税額の調整
        固定資産については取得後3年間の状況に応じて控除税額を調整する必要がある。これを調整対象固定資産といい、税抜きの購入価格が100万円以上の一定の固定資産を対象とする。
        仕入税額控除に一括比例配分方式を採用し、その計算に用いた課税売上割合が、その後3年間の通算課税売上割合と著しく異なる(通算課税売上割合が仕入れ年度の課税売上割合に対して50%以上変動し、かつ通算課税売上割合と仕入れ年度の課税売上割合の差が5%以上になった場合)ときには、通算課税売上割合で再計算した金額を仕入れ税額控除に際して調整する必要がある。
        仕入税額控除に個別対応方式を採用し、3年以内に課税業務用から非課税業務用に転用した場合は転用時期に応じた控除消費税額の減額調整を行う。
        仕入税額控除に個別対応方式を採用し、3年以内に非課税業務用から課税業務用に転用した場合は転用時期に応じた控除消費税額の増額調整を行う。
        ※調整対象固定資産の処理は取得年度に遡及的に発生するため注意が必要。


  外貨建取引
    為替相場
      電信売相場 TTS(Telegraphic Transfer Selling Rate)
      電信買相場 TTB(Telegraphic Transfer Buying Rate)
      仲値(電信売相場と電信買相場の真ん中の価格) TTM(Telegraphic Transfer Middle Rate)
    取引に用いる為替相場
      外貨建取引等会計処理基準
        1. 取引が発生した日における直物(じきもの)相場
        2. 合理的な基礎に基づいて算定された平均相場
      法人税法
        原則 取引日のTTM
        継続適用を条件に売上その他の収益または資産については取引日のTTB, 仕入れその他の費用または負債については取引日のTTS
    一取引基準と二取引基準
      一取引基準 外貨建取引の発生とその取引の決済を1つの取引とする方法。取引時の為替相場と決済時の為替相場の差額はもととなった取引金額の修正として処理される
      二取引基準 外貨建取引の発生とその取引の決済は異なる2つの取引と認識するため、両取引時点の為替相場の差額が為替差損益となる。
      外貨建取引等会計処理基準では二取引基準が採用されている。
    外貨によって授受された前渡金および前受金の扱い
      前渡金, 前受金については金銭授受の為替相場、残りの部分については取引発生時の為替相場によって換算することが原則。ただし営業利益及び経常利益に重要な影響を及ぼさないと認められるときは、全額を取引発生時の為替相場によって換算して計上し、為替相場の相違から生じる換算差額は為替差損益として処理できる。
    社内レートによる原材料の換算
      外貨建の原材料仕入れに社内レート等を使って換算した場合は原則として実際の為替相場で換算し直す必要がある。ただし、業務上の負荷を考慮して、棚卸資産ごとに個別に調整せずに、原材料受入差額として一括して配賦処理することが認められている。

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販売から回収に至るプロセス
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購買から支払に至るプロセス
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固定資産管理プロセス
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経費認識から支払に至るプロセス
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付録
連結決算・連結納税対応チェックリスト
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