失敗の本質 日本軍の組織論的研究 / 戸部良一, 寺本義也, 鎌田伸一, 杉之尾孝生, 村井友秀, 野中郁次郎
- 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 1984/05/01
- メディア: 単行本
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結構前に読んだ本で、かつ歴史とか戦争とか興味なくて、出てくる人の名前とか作戦を、全く覚えられないんですが一応読んだよメモということで。
何についての本かというと
開戦したあとの日本の「戦い方」「敗け方」を研究対象として
おり、その日本軍の組織的研究を現代の組織に生かすことを目的として書かれた本です。
研究対象としては
選び分析しています。
それぞれ異なる執筆担当の方が書かれているのですが、おもしろかった(というか印象に残った)部分を拾うと
- 関東軍は満州国支配機関としては優秀であり、その目的に特化した官僚機構だった。
- だがそのために有事に対応する軍隊という本来の任務でマイナスになった
- 真珠湾攻撃で航空機が戦艦に変わって海上兵力の主力となることを示したのは日本だったが、その後の日本海軍は大鑑巨砲主義のままで、逆に米英の方がその重要性を認識していた
- コンティンジェンシー・プランの欠如(失敗を想定しない作戦実行)
- 攻撃偏重の戦略・用兵思想と防禦の重要性の認識の欠如
- 兵站/ロジスティック・システムの遅れ
- 戦略的グランド・デザインの欠如/短期決戦の戦略志向
- 「人情」という名の人間関係重視、組織内融和の優先「空気」
- 学習を軽視した組織/情報共有システムの欠如
- 自己革新的なしは自己超越的な行動を含んでいないため過剰適応してしまう
とか、その他色々です。
で、結局
日本軍の組織原理を無批判に導入した現代日本の組織一般が、平時的状況のもとでは有効かつ順調に機能しえたとしても、危機が生じたときは、大東亜戦争で日本軍が露呈した組織的欠陥を再び表面化させないという保証はない
と書かれているんですが、3/11以降、あまりにも当てはまることが多くて、むーんという感じです…。