本はどのように消えてゆくのか / 津野海太郎

本はどのように消えてゆくのか

本はどのように消えてゆくのか

近所の図書館でリサイクル資料(廃棄図書)に出てたので貰ってきました。
15年前に書かれた書籍ですが色々おもしろいです。

私は正直、この本が書かれていた頃は電子書籍といわれても専用のリーダーがあって、それように売ってるコンテンツ買ってなんて考えていました。あと、妙にインタラクティブなヤツとか。Webが本の代わりになるとは思わなかったです。
しかし、著者は

ネットワークをつうじてデータを入手し、
それをディスプレイ画面にデジタル文字として表示して、
複数のウィンドウを切り替えながら読む。

という今の電子書籍の形を考えていたようです。
そして

このむとこのまざるとにかかわらず、いつか紙と活字の本はなくなる。でも、それには長い時間がかかる。新しい本と古い本との共存。それはそれで、なかなかにたのしみな環境なのではあるまいか。

と結論づけています。

私自身は電子書籍を読むための端末を所持していないので、偉そうなことは言えないのですが、今のところ、(紙であまり厚くならない書籍に関しては)紙の本よりも使い勝手が良さそうに見えないんですよね。でも検索性とか、分厚い本を持ち歩くことを考えると色々変わって来ると思うんですが…。

まあ、その辺りは置いといて

  • 「絶えず動いているデジタル・データ」と「紙に印刷されて固められたモノ=本」という捉え方
  • ガリ版活版印刷の弟分ではなく、活版とは別の原理にたつ古い本づくりの技術、活版以前の木版本の伝統につこうとしたもの
  • 活版から写植オフセット印刷に移行したことによる印刷と編集が分離した
  • DTP、オンデマンド印刷によって編集が印刷を取り戻す

といった視点がおもしろかったです。
リアルタイムで読んだらピンと来なかった可能性もあるし、実は良いタイミングだったのかも。